あなたは、ゴミ屋敷を作ってしまう原因は精神疾患にあるんじゃないかと思っているのではないですか?
確かに、ゴミ屋敷は特別なことではなくなってきており、社会で頑張っていた方ほど作ってしまいがちですので、そういった意味では、精神に問題が生じてしまったと考えても不思議ではありません。
精神の悩みは深刻で、現代社会では、その過労やプレッシャーといったストレスから、通常の精神状態と精神疾患の区別がつきづらくなってきています。実際、一生の内に5人に1人は精神疾患にかかるとすら言われています。
一言で精神疾患と言ってもいろいろな種類や、症状がありますので、今回はゴミ屋敷と関連の深い精神疾患や、その原因、解決法などを書きました。
少しでも心の状態が楽になれば、ゴミ屋敷にならなくて済むかもしれません。
1ゴミ屋敷と精神疾患
1−1ゴミ屋敷と精神疾患の関係
ゴミ屋敷を作ってしまう原因は、精神が病んでいるから、生きることに疲れているから、といったことがメディアで取り上げられるようになった結果、ゴミ屋敷と精神疾患は切っても切れないものであるように認識されるようになりました。
ただ、精神疾患と言っても、それが何なのかを理解されている方は思っているより少なく思います。
まずは、精神疾患とは何なのか見ていきましょう。
1−2精神疾患とは
脳の機能的な障害や器質的な問題によって生じる疾患の総称(goo辞書より)
少し難しい説明ですが、簡単に言うと、トラウマやコンプレックス、ストレス、過労、睡眠不足などが重なり、心が病んでしまう状態のことを言うようです。
一言に精神疾患と言っても、多くの種類があり、具体的には以下があります。
- 精神分裂病
- うつ病
- 躁病
- 神経症
- 人格障害
- 摂食障害
- 思春期/青年期精神障害
- 心身症
- 児童期精神障害
- 老年期精神障害
さらにそれそれの病気の中で細かく分けられるため、正しい認識をすることが必要です。
2ゴミ屋敷を作ってしまう精神疾患
精神疾患に多くの種類があることは、ご理解頂けたと思いますが、その中でもゴミ屋敷を作ってしまう精神疾患は、以下になります。
- OCD:強迫性障害(強迫性溜め込み、ホーディング)
- ADHD:注意欠陥/多動性障害・・・片付けられない症候群
- その他関連が深いと言われる精神疾患(鬱、セルフネグレクト、統合失調症、認知症)
2−1OCD:強迫性障害(強迫性溜め込み、ホーディング)
自分の意志とは関係なく、同じ行動を繰り返してしまう病気のことで、OCD(Obsessive-Compulsive Disorder)と呼ばれます。
その中でも、異常なほど物を集めたり、物を捨てることができなかったりした結果、家の内外にあふれるほど物が溜まってしまうことを強迫性溜め込みであったり、強迫性貯蔵症と言われています。(海外ではホーディングと呼ばれています)
【心理的な特徴】
- 買わなかったり、拾わなかったりすることによって、後で後悔するのではないかと不安になる
- もしかしたら、二度と手に入らないのではないかと不安になる
- まだ十分ではないのではないかと、漠然とした感情を元に買い物を続けてしまう
- どれを捨てて、どれをとっておくのか、整理して考えられない
- 疲れすぎていて、片付けるほど体力や精神力がないと思っている
- 自分の行動に自信が持てずに、決断できない
- 汚染恐怖による強迫観念から、物を触ることが出来ずに、結果物が溜まってしまう
- 自分以外に触らせたくないので、家族や友人、業者にお願いして片付けてもらうことすら嫌
なぜ、人から見たら不要なものを集めてしまうのかについては、実録。普通の人がゴミ屋敷を作ってしまう人に変わる3つの心理状況の記事で書きましたので、興味がある方は確認してみてください。
2−2ADHD(注意欠陥・多動性障害)・・・片付けられない症候群
ADHD(Attention-deficit / hyperactivity disorder:注意欠如・多動性障害)は遺伝が関係する先天性の障害で、本来、小児や思春期に見られる病気で、集中力が続かなかったり、落ち着きがなかったり、物事を忘れてしまうことが、人よりも顕著に現れるものでした。
しかし、現在では、大人になってもその症状が治らない人が多くおり、子供の頃発祥した50〜80%が治っていないというデータも出ているようです。
整理をすることがそもそも苦手ということに加え、通常生活でパニック障害に陥ってしまい、徐々にゴミ屋敷化してしまうようです。
2−3その他関連が深いと言われる精神疾患(鬱、セルフネグレクト、統合失調症、認知症)
鬱病
軽度〜重度まで症状の度合いはさまざまだが、人間が生きていく上で、一度もかからない人はいないとすら言われている心の病気。
抑うつ気分、意欲・興味・精神活動の低下、焦燥、食欲低下、不眠などを特徴とする精神疾患。
※鬱病の基準
薬物依存以外、身体疾患以外、死別反応以外のもので、2週間以上にわたり毎日続き、生活の機能障害を呈している
セルフネグレクト(自己放任)
介護が必要な高齢者や子供を除く、成人した人間が、通常の生活を維持するために必要な行為を行う意欲・能力を喪失し、自己の健康・安全を損なうこと。
本来やらなければならないことを放棄してしまう病気
【セルフネグレクトの特徴】
- 身体が極端に不衛生
- 失禁や排泄物の放置
- 住環境が極端に不衛生
- 通常と異なって見える生活状況
- 生命を脅かす自身による治療やケアの放置
- 必要な医療・サービスの拒否
- 不適当な金銭・財産管理
- 地域の中での孤立
『ルポ ゴミ屋敷に棲む人々』より 著:岸 恵美子(幻冬社)
統合失調症
幻覚や妄想、意欲の低下のために、まわりの人からの意見をきけなくなったり、人付き合いができなくなったり、身の回りのことをしなくなる病気。
10歳代後半から30歳代前半の間に発症し、だんだんと進行していくと言われており、100人〜120人に1人の割合で発症しているとも言われています。決して珍しい病気ではありません。
認知症
後天的な脳の器質的障害により、いったん正常に発達した知能が低下してしまう状態のこと
65歳以上の高齢者び7人に1人程度(平成22年度時点)が認知症と言われている。
精神障害の診断と統計マニュアル(アメリカ精神医学会)
DSM-Ⅳによる認知症の診断基準
- 多彩な認知欠損。記憶障害以外に、失語、失行、失認、遂行機能障害のうちのひとつ以上。
- 認知欠損は、その各々が社会的または職業的機能の著しい障害を引き起こし、病前の機能水準から著しく低下している。
- 認知欠損はせん妄の経過中にのみ現れるものではない。
- 痴呆症状が、原因である一般身体疾患の直接的な結果であるという証拠が必要。
3精神疾患を調べるチェック方法
精神疾患は判断のしにくい病気ですので、精神科へ行って正しく診断してもらうのが一番ですが、
今は以下のようなサイトで、簡単なチェックをすることができます。
あくまで参考程度にし、客観的に自分と向き合うことが大切です。
うつ・不安ネット:うつ度チェック 簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)
統合失調症ナビ:セルフチェック
4精神疾患を治す方法
「焦ってはいけない」「頑張ろうとしてはいけない」などという意見はよく聞きますが、具体的にどうすれば良いかがわからないために、余計悪循環になってしまうパターンは多いようです。相談や支援制度を上手く活用し、回復していきましょう。
4−1友人や家族の援助を求める
身の回りの人に今の状況や考えを打ち明けることで、自分自身を客観的に見つめることができ、回復へ向かうパターンも多いようです。
重度の症状になる前に相談することで、悪化を防ぐことが出来ます。
4−2医師へ相談する
友人や家族への相談が出来なかったり、出来たとしても改善が見られない場合は、医師に相談することが一番です。
心療内科、精神科へ行き、カウンセリングを受けることをオススメします。
4−3精神薬を服用する
医師に相談し、普段の生活において、精神薬を服用することも多いようです。一言に精神薬と言っても、大きく以下のタイプがあげられます。
- 抗精神病薬(メジャートランキライザー)
- 抗不安薬(マイナートランキライザー)
- 抗うつ薬
- 気分安定薬
また、精神薬を服用するとなると、「そんな薬なんて飲んで、依存してしまっては怖い」と頑なに服用しないパターンか、「この薬を飲んでいれば平気」と薬に依存してしまう2つの偏ったパターンがあるようですが、治療のためには言うまでもなく用法容量を正しく守ることが大切です。
4−4経済面で国の援助を受ける
精神疾患の際には、経済面において国から大きく分けて5つの援助を受けることができます。一時的に働けなくなってしまうなどした場合一番困るのは経済面による不安だと思います。国の制度をしっかりと確認し、安心を得ることが出来れば、心置きなく治療に専念することができると思います。
- 医療費の助成制度
- 仕事ができないときの保障制度
- 生活費の保障制度
- 税金が安くなる制度
- 精神障害者保健福祉手帳の発行制度
詳細を知りたい方は、厚生労働省-みんなのメンタルヘルスに記載されていますので、確認してみてください。
4−5職場復帰支援で国の援助を受ける
精神疾患で休職期間が長期化している方や休職と復職を繰り返している方に向けて、国が職場復帰支援を提供しています。
各都道府県の障害者職業センターにて実施されていますので、お住まいのセンターに問い合わせてみてください。
5まとめ
精神に異常がある状態でゴミ屋敷を片付けようとしても、限界があります。ひどい場合は、精神状態が悪化してゴミ屋敷具合がさらに進行してしまいかねません。正しくご自身の状態を把握して、身体や心と相談しながら、ゴミ屋敷の状態改善に努めていくことをおすすめします。
この記事が少しでも役に立てれば幸いです。
※この記事は、各専門サイトを参照しておりますが、筆者は医師ではありませんので、記事内容はあくまで参考とし、状況をご自身で判断したりせず、病院に行って医師の診断を受けてください。