ひと口に「汚部屋」と言っても、その要因はさまざま。住人がどんな性格か、どんな生活を送っているかによって、汚部屋ができあがってしまった背景は異なります。
問題を解決する一番の近道は、そうなった要因を知ること。もしあなたが「汚い部屋はもう卒業したい!」と強く思っているのであれば、まずはご自身のタイプを知るところから始めてみてはいかがでしょうか?
この記事では、汚部屋をキレイにするための最善の方法をタイプ別にご紹介していきたいと思います!
【目次】
1. 「モノを捨てられない」タイプ
「断捨離」という言葉が浸透し、シンプルに生きることの大切さが見直されている昨今。「そんなこと言ったって、捨てられないものは捨てられないし…」と思っている方もいらっしゃるでしょう。
ではそもそも、「モノを捨てられない」のはなぜなのでしょうか?そこから考えることが、汚部屋を脱出するヒントになります。
1-1. 捨てられないのはなぜ?
部屋の中を見渡してみてください。辺り一面にあふれているモノたちは、以下のうちどれに多く当てはまりますか?
■もったいなくて捨てられない
無料でもらった化粧品のサンプル、流行が過ぎ去った服、ブランドの紙袋、とっくに治った病気の薬、賞味期限の切れた食材、読み終わった週刊誌など。
「いつか使うかもしれない」「まだ使えるモノを捨てるのは気が引ける」という気持ちがあるのではないでしょうか。モノを大切にすること自体はもちろん間違っていませんが、「汚部屋を卒業する」という目標の前では、その思いは一旦忘れましょう。いま使っていないのに「使うかもしれない」と迷っている時点で、大概それは必要のないモノです。
■思い出があるから捨てられない
人からもらったけれど何年も使っていないプレゼント、学生時代に友達と回し合った手紙、旅行で買った雑貨など。
思い出が詰まったモノは、手元に置いておくだけで心の支えになりますよね。そうしたモノは、無理に捨てる必要はありません。ただし、ここでも「取っておくモノ」と「思いきって捨てるモノ」を分別することが大切。捨てると決めたモノであっても、工夫次第では形を変えて手元に置いておくこともできます。詳しくは次の章で説明しますね。
■たくさんあるのに買い足してしまう
安売りしていてつい買ってしまった食材や日用品、服・靴・アクセサリー・趣味のコレクションといった嗜好品など。
これらは、まず「買い足さない」という選択をすることから始めなくてはなりません。「部屋をキレイにするまでは買わない」と自分に強く約束することが必要です。「買わなければ不安でたまらない」という方は、もしかすると買い物依存症の兆しがあるかも…。こちらについても、次の章で説明したいと思います。
1-2. モノを捨てるコツ
捨てられない理由の傾向がわかったら、いよいよ「捨てる」行為に踏み切るとき。理由ごとに捨てるコツを見ていきましょう。
■もったいなくて捨てられない
前述したように、「汚部屋を卒業する」という目標の前では、モノを大切にするポリシーは一旦忘れましょう。いくら大切に取っておいても、使わないのであればその行為は意味がありません。
まずは、目の前にあふれたモノをざっくり分別するところから。あまり深く考えずに、「毎日使っているモノ」「時々使っているモノ」「3ヶ月以上使っていないモノ」に直感的に分けていってください。段ボールやゴミ袋にポンポン入れていくといいでしょう。
分別したら、「3ヶ月以上使っていないモノ」は有無を言わさず捨てること。中身をじっくり見返したりせずに、ゴミの分別だけして思いきって捨ててしまうことです。万一使うときが来ても、たいていのモノは新たに買い足せるはず。キレイな部屋に近づくのであれば、これは必要経費です。
「毎日使っているモノ」「時々使っているモノ」は、あらかじめ収納スペースを決めて収納していきましょう。「化粧品」「本」「衣類」「その他の小物」など、ジャンルごとにスペースを決めるとスムーズに片付けられます。
■思い出があるから捨てられない
思い出の品を改めて見直し、「取っておくモノ」と「思いきって捨てるモノ」に分けます。人からもらったモノはなかなか捨てにくいですが、使っていない・これからも使わない・飾っておくわけでもないのであれば、勇気を出して手放しましょう。大切なのは、くれた相手とその行為に感謝をすること。モノを捨てる=相手の厚意を無下にする、ということでは決してありません。
それでも捨てるのがためらわれるのであれば、保存方法を変えることをおすすめします。写真に撮っておいたり、データにしたり、衣類などであれば専門店で小物にリメイクしてもらうという手も。いつでも見返すことができる安心感を手に入れれば、現物を手放す勇気も生まれてくると思います。
■たくさんあるのに買い足してしまう
食材や日用品など、買い足してしまうモノの種類に傾向がある場合は、すでにあるモノを把握するところから。食材であれば、冷蔵庫の中身をスマホなどにメモしておきましょう。そして、すでにあるモノは絶対に買わないという強い意志を持つことです。
嗜好品については、汚部屋を卒業するまでは一旦買うのをストップ。部屋がキレイになったときのご褒美として、とびきりいい品を買うことを考えておいてもいいと思います。そういった目標があれば、掃除も前向きに取り組めるのではないでしょうか?
もし、買わないことが強いストレスになるのであれば、買い物依存症の疑いもあります。買い物依存症は、日頃ストレスを発散することが苦手な性格の方が特に陥りやすいと言われている精神疾患。ご自身で思い当たるところがある場合は、一度カウンセリングを受けてみたほうがいいかもしれません。いまはネットから簡単に予約することもできますので、状況が悪化する前に専門家に相談してみてくださいね。
2. 「片付けるのが面倒」タイプ
次にご紹介するのは、「片付けるのが面倒」と感じているタイプ。重い腰を上げて片付けるくらいなら汚い部屋で暮らしたほうがマシ、と考える方が多いようです。
とはいえ、その部屋に越してきた当初は、まだ(あるいは、いまよりは)キレイな状態だったはず。では、そこから汚部屋へと変貌を遂げてしまう経緯には、どんなケースがあるのでしょうか。
2-1. 片付けられなくなる原因は?
越してきた当初から現在までを振り返ってみてください。整理整頓が得意・苦手という生来の性格ももちろん影響しますが、何があなたを「面倒くさがり」にさせてしまっているのでしょうか?
■「少しくらいいいや」が積もりに積もってしまう
「塵も積もれば山となる」なんてことわざがありますが、まさにそう。脱いだ服をそのまま床に置いたり、食べ終わったお弁当のパックをテーブルに置きっぱなしにしたり、聴いたCDをケースに戻さずオーディオの上に重ねたり…。部屋に越してきた当初、「少しくらいいいや」という気持ちで片付けを怠ったことがありませんでしたか?
この場合は、最初の「少しくらいいいや」を徹底して撲滅することが大切。といっても、時すでに遅しという方がほとんどだと思いますので、いまから片付ける方法を次の章で説明していきます。
■床で生活している
万年床、ローテーブル、座椅子、背の低い棚…。床もしくは床に近い場所で生活をしていると、汚部屋になりやすいと言われています。なぜなら、床にモノを置いてしまうから。棚やクローゼットなら置けるモノの量に制限がありますが、床の場合は、部屋の面積と高さの範囲内であればほぼ無制限にモノを置けてしまいます。
つい床にモノを置いてしまうという方は、床生活を脱出することが脱・汚部屋の近道。モノを置くのは家具の上や中にとどめ、床には絶対に置かないようにすることが重要です。
■片付けられない病気の疑いがある
実は、片付けられないのは性格の問題ではなく、病気のせいである可能性も。
たとえば、ADHD(注意欠陥・多動性障害)は、「不注意」「多動性」「衝動性」などの特徴を持つ発達障害。「片付けることが苦手」という症状が現れることも多いとされています。また、うつ病やセルフネグレクトなどの精神疾患も、汚部屋を引き起こす原因のひとつとして考えられています。
詳しい内容はこちらの記事で紹介していますので、思い当たる方はぜひ参考にしてみてください。
※「これって病気…?「片付けられない症候群」」
2-2. 掃除の手順&キレイをキープするコツ
では、実際に掃除を始めるときの手順と、キレイな部屋をキープするためのコツを、片付けられない原因別にご紹介していきます。
■「少しくらいいいや」が積もりに積もってしまう
一番重要なのは、最初の「少しくらいいいや」を撲滅すること。ただし、すでに汚部屋に陥ってしまっている場合、まずは部屋を片付けるところから始めなくてはなりません。
片付け自体は、3つのアイテムと5つのステップだけで進めることができます。詳しい手順はこちらの記事をご覧ください。
※「汚い部屋もステキなお部屋に大変身!部屋を片付ける5つの手順」
さて、ある程度片付いたら、今度はキレイな状態をキープしなければなりませんね。ここで思い出していただきたいのが、「少しくらいいいや」の撲滅です。特に一番初めの「少しくらいいいや」は、絶対に許してはいけません。汚部屋に逆戻りして、再び片付ける労力を想像すれば、数秒〜数分で終わる片付けなんて「面倒」とは思わないはずです。
また、日頃の片付けで念頭に置いておきたいのが、「使ったモノはもとの場所に戻す」こと。汚部屋を片付ける際に決めた「モノの住所」を正しく守る。日々のこの繰り返しが、キレイな状態をキープするための重要なカギなのです。
■床で生活している
こちらのケースも、まずはモノやゴミを片付けるところから。こちらの記事を参考に、床がすべて見えるようになるまで片付けましょう。
※「汚い部屋もステキなお部屋に大変身!部屋を片付ける5つの手順」
このタイプに必須なのが、床生活をやめること。布団やマットレスではなく脚のついたベッド、座椅子ではなくソファや椅子、ローテーブルではなく高いテーブル。まずは、自分が長時間いる場所だけでも高くしてみてください(座椅子を捨てて椅子を買うなど)。一気に家具を総入れ替えすることは難しいと思いますが、徐々にでもシフトしていきましょう。
「汚部屋には収納家具が多い」という説もあります。モノがあふれれば収納家具を買い足してそこに入れる、という行為を繰り返すため、根本的な解決にならず部屋が汚れていくという理由です。もし収納家具が多い場合は、思いきって捨ててみましょう。部屋に備わっているクローゼットや押し入れだけを使い、入りきらないモノは捨てるようにします。
そして最も重要なのが、床にモノを絶対に置かないこと。使ったモノはもとの場所に戻す、要らないモノは即捨てる、を徹底し、どうしても置く必要があればテーブルの上などにとどめましょう。
3. 「片付ける時間がない」タイプ
毎日ハードスケジュールをこなしていれば、片付ける時間も体力も気力もなくなってしまいますよね。
「帰宅して汚い部屋にウンザリ…」
「でも片付けられない…」
と、まさに悪循環。これでは疲れが癒されず、ストレスも溜まり放題です。
そんな場合はどうすればいいのでしょうか。
3-1. 時間を捻出するには?
寝る間も食べる間もないくらい忙しいのであれば、いまは汚部屋を片付けるタイミングではないのかもしれません。少し余裕ができるまで待つのが得策でしょう。そうでない場合、時間は必ずどこかでつくることができます。
■週末など、休日にまとまった時間をつくる
多忙な平日の反動で、休日はベッドから一歩も動けない…。そんな場合は、1日だけでも、もしくは数週にわたっても構わないので、「片付ける日」を決めてしまいましょう。ほんの1回〜数回の辛抱で、その後は心置きなく休日を満喫することができるのですから。
■寝る前の30分など、毎日少しずつ時間をつくる
まとまった休みがない場合は、毎日少しでも時間をつくること。30分でも15分でも構いません。毎日が難しければ隔日でもOKです。とにかく、日々の積み重ねでコツコツ片付けていくというパターンです。
3-2. 捻出した時間で掃除を終わらせるコツ
頑張って時間を捻出したら、限られた時間内に終わらせることのできる掃除方法を選びましょう。「絶対に終わらせなければならない」というプレッシャーを自分自身にかけることも大切です。
■週末など、休日にまとまった時間をつくる
「この日に片付ける!」と決めたら、その直後に、自宅に人を招く予定を入れてしまいましょう。自分が汚部屋に住んでいることを知らない人、知られたくない人を誘うのがポイント。休日が日曜で、来週の日曜に片付けるなら、その次の日曜には予定を入れてしまいます。「片付けざるを得ない状況を自分でつくる」ことが大切なのです。
■寝る前の30分など、毎日少しずつ時間をつくる
このタイプの場合は、部屋のどこを片付けるかを日ごとに決めておくことを推奨します。今週は玄関、来週はキッチン、再来週はお風呂…など、時間がかかりそうであれば週ごとでも構いません。片付ける順番は、玄関→部屋までの通路→水まわり→メインルーム。玄関が汚ければゴミを出すにも一苦労ですから、まずは玄関からスタートしましょう。
3-3. 困ったときの業者頼み
とにかく時間がない方には、「清掃業者に依頼する」という方法もおすすめ。不要品の回収やクリーニングも行なってくれるので、一気に汚部屋脱出をはかることができます。所要時間と費用は業者により異なりますが、目安をご紹介しますね。いずれも背丈以上のゴミで埋まっているような、完全な「ゴミ屋敷」のお部屋の場合です。
【1Kアパートの例】
作業:不要品の分別、梱包、撤去、処分、水周りのハウスクリーニング
部屋の間取り:1K(6畳)
作業人数:4人
作業時間:約7時間
料金:約24万円
【2DKマンションの例】
作業:不要品の分別、梱包、撤去、処分+引越し
部屋の間取り:2LDK(LDK約12畳+6畳・4.5畳)
作業人数:5人
作業時間:約6時間
料金:約40万円
4. まとめ
汚部屋をつくる要因と掃除のコツを、タイプ別にご紹介してきました。ご自身に当てはまるものはありましたか?
汚部屋に住んでいる方の中には、「実はこのままのほうが居心地がいい」「散らかっているほうが便利だし」と考える方もいらっしゃるかもしれません。その場合は、まだ汚部屋を卒業するタイミングではないのかも。脱・汚部屋のためには、「絶対に片付ける!」というご自身の覚悟が何よりも大切だからです。
ただし、汚部屋にメリットはあまりありません。身体・精神の衛生面をはじめ、火災や近隣住民とのトラブルなどを引き起こす恐れもあります。「本当にこのままでいいのか?」ということを、いま一度ご自身に問いかけてみることをおすすめします。